郁文館夢学園との英語教育コラボレーションが 2026年度からはじまります
このたび、帰国子女アカデミー(KA)は、2026年度より郁文館グローバル高等学校に新設される中高一貫コースの放課後プログラムを通して、英語教育におけるコラボレーションをさせていただく運びとなりました。
本コラボレーションにあたり、郁文館グローバル高等学校校長の鎌倉先生と、KA 創立者チャールズ・カヌーセンによる対談を行いました。ぜひご覧ください。
対談動画
以下、上記動画の内容をもとに、読みやすさを考慮して書き起こしています。対談の趣旨はそのままに、一部補足・整理したものです。動画とあわせてご覧ください。(すべて日本語で掲載しています。)
郁文館グローバル高等学校に「6年一貫」新設、その狙いとは
はじめに〜コース新設の背景と理由(0:00 - 3:46)
村田さん:
皆さん、こんにちは。インターナショナルスクールタイムズです。近年、海外大学への進学実績を伸ばす学校が増え、各種メディアでも取り上げられる機会が増えています。中でも注目を集めているのが、郁文館グローバル高等学校です。
本日は、郁文館グローバル高等学校 校長の鎌倉好男先生、Global KA Holdings/KA International の CEO 兼代表取締役であるチャールズ・カヌーセン先生、そして Global KA Holdings のホルトマン・このみさんにお話を伺います。
早速ですが、郁文館グローバル高等学校に「6年間の中高一貫コース」が新設されると伺い、大きな話題になりそうだと感じています。
チャールズ先生は塾としてさまざまな学校の動向を見ながら生徒に新たな選択肢を提示する立場であり、鎌倉先生は学校の責任者として今回のお取り組みを担われています。学校数が増える中で、今、6年一貫コースを設ける意義や背景について、教えていただけますでしょうか。
鎌倉先生:
はい。理由は大きく二つあります。
まず一つ目は、保護者の視点です。私自身、中学受験を控えた息子がおり、息子は公立小学校に通っています。一方で、妹はインターナショナルスクールに通っています。
AI の急速な発展やグローバル化、国際情勢の不安定化といった時代背景の中で、「子どもに必要な教育は何か」に悩まれる保護者の方は多いと思います。しかし日本の中等教育では、選択肢がまだ十分とは言えず、結果として偏差値を軸に学校を選ぶ流れが強くなりがちです。
その一方で、都内 23 区だけでも、義務教育の学校に通わずインターナショナルスクール等を選択する児童生徒が 5,000人を超えるとも言われています。そうしたご家庭に対し、明確な解(受け皿)を提示することが一つ目です。
二つ目は、AIがこの1年半〜2年で一気に広がり、今後 AGI、ASI の時代が来るとも言われる中で、これからの社会に対応した「グローバル教育の再定義」といった点についてもお話しできればと思います。
村田さん:
ありがとうございます。チャールズ先生は、今回の6年一貫コース新設をどのように捉えていらっしゃいますか。
チャールズ・カヌーセン:
新しいプログラムが生まれることは、常に生徒にとって大きなニュースです。
今年、中学進学を見据えて動いている受験生は約750名にのぼりますが、残念ながら、すべての学校で十分な受け入れ枠が確保できているわけではありません。結果として毎年、多くの生徒が、いわゆるインターナショナル型のプログラム以外の選択肢を検討せざるを得ない状況にあります。
その意味で今回の取り組みは非常に大きく、生徒が高度な英語教育を受けられる機会が広がることを、私たちは心強く感じています。
「世界地図から進路を選ぶ」─ 郁文館が描く教育のビジョン(3:47 - 5:49)
鎌倉先生:
今お話にあった通り、受け皿が不足しているのが現状です。これは、先ほど触れた「グローバル教育の再定義」とも関係していると思います。
中等教育を終えた後に、世界地図の中から自分の進路を選べる。そしてその先も、グローバルな舞台で自分が主人公となり、社会に貢献しながら多くの「ありがとう」を集めていく。そうした姿をミッション・ビジョンとして掲げ、英語教育や海外プログラムを手段として備えた受け皿は、まだ十分とは言えません。
村田さん:
お二人とも、そこに危機感をお持ちということでしょうか。
鎌倉先生:
はい。偏差値で選ぶ流れが今も強く、どれだけ中等教育で探究を深め「Who am I」「Who are you」を突き詰めても、出口に入試が見えてくると、一般入試へ切り替えざるを得ないケースが多いと感じています。
そこで出口を思い切ってAO入試へと切り替えると、逆算して6年間/3年間の学びが、ホリスティック(well-rounded)な生徒を育てる設計になっていくのではないかと考えています。(※)
※特定の入試方式のみを想定したものではなく、生徒一人ひとりの個性や探究が評価される進路の選択肢を幅広く見据えた教育設計を指しています。
“Who are you?” 探求する6年間/3年間
子どもの個性や夢に寄り添う、郁文館の「ドリームカウンセリング」(5:50 - 7:39)
チャールズ・カヌーセン:
さらに、保護者の意識にも変化が見られます。以前は、お子さまに進学してほしい大学の「ブランド力」を重視するご家庭が多かったと思います。
しかし近年、保護者の方々が、子どもの幸福をより長期的な視点で捉え、学校選びをするようになってきたことを強く感じます。もちろん大学のブランド力が重要であることに変わりはありません。ただ、子どもの個性や夢に本当に合った環境を選ぶご家庭は、確実に増えています。
郁文館グローバル高等学校の取り組みで特に印象的だったのが「ドリームカウンセリング」です。早い段階から生徒の夢や関心を引き出し、その後も定期的に確認しながら進路を伴走する仕組みで、KAのご家庭にとっても魅力的だと感じました。
また、(郁文館グローバル高等学校において)中学生向けのプログラム自体は新設ですが、同校の高校プログラムは長年にわたり成果を上げてきました。 すでに多くの生徒が、自分の夢とする大学への進学を実現しています。実際に生徒に会って話を聞いた際も、モチベーションの高さと、将来像の明確さが印象的でした。
中高一貫コースも、高校プログラムを築いてきた同じスタッフが運営に携わるという点で、力強いスタートが期待できると思います。
17歳で世界へ挑んだ生徒たち—実例(7:40 - 11:21)
鎌倉先生:
「ドリームカウンセリング」の話が出ましたが、本校が大切にしているのは「あなたは何者か」という問いです。つまり “Who are you?” に自分の言葉で答えられる6年間(あるいは3年間)をつくること。言い換えれば、好きなこと・得意なことを深く掘り下げていく教育です。
例えば、ものづくりが大好きでロボティクスにも関心のある生徒がいました。その生徒が、アメリカのFRC(First Robotics Competition)という世界最大級の国際大会を見つけ、「出場したい」と言い出したのです。
ただし、世界大会出場までには総額で約 1,000万円が必要でした。ロボット1台の制作にも 250万〜 300万円程度、大会参加費は 6,000ドル(約 90万円)に加え、渡航費もかかります。
そこで、その生徒の想いに共感した仲間が集まりました。ビジネスに興味のある生徒、ファイナンスや経理が得意な生徒、デザインが得意でロゴ制作ができる生徒などがチームを組み、学校内に一般社団法人を設立。スポンサーを 12 社獲得し、8か月で 1,000万円を調達しました。
さらに、早稲田大学の先生や CASIO から指導を受け、東京大学の工房も借りながら準備を重ね、2024年に世界大会へ出場しています。加えて、そのうちの一人が活動をストーリーとしてまとめ、柳井財団の奨学金を獲得した例もあります。
チャールズ・カヌーセン:
法人を立ち上げた当時、生徒たちは何歳だったのでしょうか。
鎌倉先生:
当時は 17歳でした。17歳の生徒3人から始まった取り組みでしたが、情熱が周囲に伝播し、後輩たちも次々と参加するようになりました。最年少は 13歳で、現在ではロボティクスチームの中心的な存在になっています。
郁文館を象徴する、「プロアクティブ」であること(11:22 - 13:08)
チャールズ・カヌーセン:
私にとっては驚くべき、いわば“天才的”とも言えるエピソードです。実際にこちら(郁文館グローバル高等学校)を訪れ、先生方と話す中で強く感じたのは、起業家的で挑戦を後押しする雰囲気があることでした。生徒は自分の夢や関心に本気で向き合い、主体的に追いかけています。サポート体制が整っている一方で、生徒自身の主体性、つまり「プロアクティブさ」が明確に感じられました。
先ほど「プロアクティブ」という言葉を使った際に、「7つの習慣(Seven Habits of Highly Effective Teens)」の話題が出ましたが、これは御校の文化として重要な要素だと思います。生徒にどのような影響を与えているのか、ぜひ教えてください。
鎌倉先生:
ありがとうございます。結局のところ、すべては「どのようなビジョンを持つか」に集約されます。なぜそれをするのか、目的は何か、という点です。
私たちのビジョンは、生徒が世界地図の中から自分の進路を選べるようになること。人生において、誰かのレールの上で「乗客」になるのではなく、自分自身が「運転席」に座る存在であってほしい。自分の人生の主人公として、ハンドルを握り、進路を切り拓く力が必要です。「7つの習慣」は、そうした力を身につけるために、自分を律し鍛える方法を提示してくれます。
チャールズ・カヌーセン:
KA でも「7つの習慣」を扱う講座があります。学校の DNA として根付いていることを知り、非常に嬉しい驚きでした。
郁文館が求める生徒像(13:09 - 14:47)
村田さん:
実際の生徒のエピソードを伺い、これから中学生向けのプログラムが始まるということで、現在小学生のお子さんを持つご家庭も多く関心を寄せていると思います。どのような生徒を対象として想定されているのでしょうか。
鎌倉先生:
繰り返しになりますが、中等教育を終えたあとに世界地図から進路を選び、自分の人生の主人公として社会に貢献し、「ありがとう」を集めていける人になってほしいと考えています。
そのため、入口の段階で求める資質として、一つ目は「好きなことや得意なことが、まだ明確でなくても、それを探し続けようとする姿勢」があることです。
二つ目は、その探究が最終的に「人の役に立ちたい」という感覚につながっていること。自分の興味や強みを通して、人の笑顔や感謝を生み出そうとする意識を持っている生徒に来ていただきたいですね。
本校では SDGs を教育の大きな柱に据えていますが、保護者の方が日常の中で社会問題やグローバルな話題についてお子さんと会話したり、一緒に考えたりしているご家庭とは、非常に相性が良いと感じています。
チャールズ・カヌーセンが感じた郁文館の魅力(14:48 - 16:46)
チャールズ・カヌーセン:
私自身、授業をいくつか見学し、あわせて複数の生徒にインタビューする機会がありました。さらに、授業中に生徒と直接会話することも許可していただきましたが、これは非常に有意義な経験でした。
私が多くの生徒に投げかけた質問の一つが、「今、何に取り組んでいて、なぜそれに取り組んでいるのですか?」という問いです。
この問いは私にとってとても重要です。なぜなら、生徒自身が「なぜ学んでいるのか」を十分に理解しないまま学習が進んでいるケースも、決して少なくないからです。
しかし、ここにいる生徒たちは皆、驚くほど素早く、そして率直に答えてくれました。「プレゼンテーションスキルを伸ばすため」「世界について理解するため」といったように、自分の学びの目的を明確に言語化できていたのです。生徒たちがこれほどオープンで、かつ自分の学びの意義を理解していることに、私は強い印象を受けました。
さらにプログラムのカリキュラム設計を拝見する中で、SDGs が単なるトピックではなく、カリキュラム全体の「背骨」として位置づけられていることがよく分かりました。年を追って積み重ねられてきたスキルが、カリキュラムそのものに深く根付いています。そのため、(中学生向け)プログラム自体は新設であっても、非常に強固な基盤がすでに築かれていると感じました。
これは、多くの学校が初年度に試行錯誤を重ねる状況とは対照的です。通常、初年度は「まずはやってみる」という段階になりがちですが、ここでは長年の実践と経験があり、実際にお会いした先生方も非常に高度なトレーニングを受けていました。教育的な観点から見ても、最初から完成度の高い、納得感のあるカリキュラムが用意されていると感じます。
また、授業やカリキュラムの内容から、この学校がどのような生徒を惹きつけたいのかも自然と伝わってきました。私の印象では、ある程度明確なビジョンを持っている、あるいは人生の中で自分なりの道を見つけたいと考えている生徒がフィットする環境だと感じます。
「どれだけ子どもに失敗させる覚悟があるか」(16:47 - 19:28)
チャールズ・カヌーセン:
もう一つ印象的だったのが、生徒たちのマナーの良さです。これは学校として大切にしている価値観の一つだと思います。
実際、グローバルプログラムに所属していない生徒と廊下ですれ違った際にも、彼らは自然に声をかけてくれました。大人と話すことに臆する様子がなく、とてもオープンで率直でした。その姿勢には、非常に強い印象を受けました。
鎌倉先生:
面白いですね。今「マナー」というお話が出ましたが、私たちが考えるマナーを少し翻訳すると、「親がどれだけ子どもに失敗させる覚悟を持っているか」だと思っています。
親が敷いたレールの上を歩くだけでは、人はプロアクティブにはなりません。自分のビジョンに向かって、好きなこと・得意なことを追いかけ続ける中で、努力が努力ではなくなり、没頭へと変わっていきます。
ただし、その過程には必ず失敗があります。そのときに、家庭も学校も「グラス・ハーフ・エンプティ」ではなく、「グラス・ハーフ・フル」の視点で接することが大切です。そうした環境の中でこそ、子どもは自然と主体性を身につけ、その結果としてマナーも育まれていくのではないかと考えています。
もう一つ、学校の本質として「貢献(contribution)」を挙げていただいた点も、とても印象に残っています。
おそらく、生徒たちがこれほど主体的に見えたのは、すべての教師が共有している理念が「貢献」にあるからだと思います。生徒一人ひとりが、授業や教室の中で何かを与え、関わり、貢献することを大切にしている。その姿勢が、日常の中で自然に育まれているのだと感じました。
その結果として、コミュニティ全体が非常に開かれた、温かい雰囲気になります。
さまざまなバックグラウンドを持つ帰国生を歓迎し合うことで、多様性が生まれ、それ自体がコミュニティの強さにつながっているのだと思います。
郁文館とKAの英語教育コラボレーション
コラボレーションの強み(19:50 - 21:44)
村田さん:
今回特に注目されているのが、郁文館グローバル高等学校に新設される「中高6年一貫コース」に帰国子女アカデミー(KA)が関わるという点だと思います。保護者の方にとっては、「海外大学進学で実績を伸ばしている郁文館」と「帰国生教育の KA」が手を組むというのは、大きなニュースですよね。
そこで、KA として郁文館とコラボレーションするに至った理由や、どのような点で強みを発揮できると考えているのか、教えていただけますか。
チャールズ・カヌーセン:
KA ではこれまで長年にわたり、学校が帰国生向けプログラムやアドバンスト英語プログラムを立ち上げ、発展させていくことを支援してきました。生徒たちが安心して学べる環境を広げることが、私たちの大きな使命です。今回の取り組みでは、さらに一歩踏み込み、単なる立ち上げ支援にとどまらず、放課後の学習面でも具体的なサポートを行っていきます。
現在、多くの生徒が非常に早い段階から英検準1級・1級、あるいは2級といった試験に挑戦しています。そこで、学校の先生方が「より深く、本質的な教育」に集中できるよう、KA が放課後のサポートを担います。具体的には、各種試験対策や受験準備、SAT をはじめとする大学進学に必要な試験対策などを、学校と連携しながら支援していく予定です。
このように役割を分担することで、学校は教育の中核となる学びに専念でき、生徒は将来につながる試験対策についても、安心してサポートを受けられる体制が整います。
チャールズ・カヌーセンから見た、新設「6年一貫コース」(21:45 - 26:44)
村田さん:
チャーリー先生の視点から、今回の6年一貫コースの特徴を、あえて「3つ」に絞るとすると、どのような点になるでしょうか。
チャールズ・カヌーセン:
一つ目は、日本の教育とグローバル教育の両方の良さを体験できる環境があること。
まず前提として、どのご家庭も「子どもにどのような経験をさせたいのか」という選択に向き合うことになります。多くの場合、「日本の学校」か「インターナショナルスクール」か、その二択を迫られてきました。
しかし近年では、そのどちらか一方を選ぶことに違和感を覚えるご家庭が増えています。日本で育ち、日本の文化やルール、マナーを自然に身につけながら、将来日本で生活したり働いたりすることに不安がない。一方で、英語力を含むグローバル教育の強みも、しっかりと享受したい——そう考えるご家庭が多いのです。
ここで言うグローバル教育とは、単に英語が話せるようになることではありません。異文化理解力(カルチュラル・リテラシー)、生産性、社会にインパクトを与え、未来に貢献しようとする姿勢など、必ずしも「日本的」「国際的」と一言では括れない価値観を含んでいます。
二つ目は、生徒が親切で協力的な文化があること。
これは、多くのご家庭にとって非常に重要な要素だと思います。
私は学校を訪れる際、必ず低学年と卒業学年の両方を見て、生徒がどのように成長しているのかを確認するようにしています。今回お会いした上級生たちは、とても成熟しており、心から「感じの良い人間」に育っていると感じました。
三つ目は、教師が生徒やプログラムを心から大切に思っていること。
教師の姿勢は普段なかなか外からは見えない部分ですが、学校の本質を最もよく表す点でもあります。実際に先生方と話し、時には生徒がいない職員室の雰囲気も感じる中で、皆が同じ方向を向き、生徒のために情熱を持って教育に取り組んでいることが伝わってきました。
そのため、質の高い教育を実現できると、私は強い手応えを感じています。そこには、確かな意欲と情熱、そしてこれまで培ってきた経験が、すでに揃っているからです。
村田さん:
学校側(鎌倉先生)としても、チャールズ代表のお話や考え方に共感されている、ということですね。
鎌倉先生:
はい。チャールズ代表とは、初めてお会いしてお話ししたときから、「教育に対する考え方がとても近い」と感じていました。今回のコラボレーションも、大きな枠組みで捉えると、同じミッション・ビジョンのもとで、子どもたちが無理なく中等教育へと進んでいける環境をつくる、という点で強く一致しています。
さらに大学進学の段階においても、「あなたは何者か」という個性や背景が見えにくくなってしまう一般入試だけでなく、AO 入試を通じて、国際系の大学や理系分野の大学、さらには海外大学まで、幅広い選択肢を持てるようになる。その点が、このコラボレーションと非常によく噛み合っていると感じています。
郁文館×KA の英語教育コラボレーションの内容(26:45 - 34:20)
村田さん:
なるほど。近年は、国内大学でも英語で学位が取得できるプログラムが増えていますし、海外大学への進学も一般的になりつつあります。
そうした中で、今回のコラボレーションによって、生徒の進路の選択肢はさらに広がっていくと考えてよいのでしょうか。
鎌倉先生:
そうですね。その点をお話しする前に、「今回のコラボレーションの具体的な中身は何なのか」と疑問に思われている方も多いと思いますので、まずは分かりやすくご説明します。
2026年度に中学1年生として入学する生徒から、まずはコラボレーションの入り口として、放課後の時間帯に KA Plus! による英語プログラムを導入します。具体的には、英検2級講座、準1級講座、そしてすでに準1級を取得している生徒には1級レベルのコンテンツも提供する予定です。
さらに、本校の6年間の英語カリキュラムを中心に KA と共有し、学校の授業内容と放課後プログラムが連動するよう設計していきます。
たとえば、学校の授業で扱っているテーマと、放課後のプログラムで扱う題材が自然につながるように調整し、同じ方向を向いた学びが積み重なるようにします。
「この時期に、どのようなスキルを身につけたいのか」という学校側の意図を KA と共有したうえで、放課後のプログラム内容を構築していく――そのような形で連動させていきます。
こうした仕組みのもとで、高校3年生まで学びを積み重ねていった生徒たちは、文字通り「世界から進路を選べる」状態になると考えています。
実際、2025年春の卒業生では、約4割が海外大学へ進学しました。進学先は13の国・地域に及んでいます。彼らが共通して身につけているものは、大きく三つあります:
- 一つ目は、海外大学でも通用する英語力です。具体的には、TOEFL iBT 80点以上、IELTS 6.5以上といった水準を最低ラインとして備えています。
- 二つ目は、「Who am I(自分は何者か)」という問いに対する自己理解が、在学中ずっと形成され続けていること。
- 三つ目は、その英語力と自己理解を土台に、「大学での学びを通じて、どのように社会に貢献していくのか(ありがとうを集めるか)」という明確な軸を持っていることです。
そのうえで、「どの国・どの環境が自分に最もフィットするのか」を主体的に選べる――そうした生徒が、このコラボレーションの先で育っていくと考えています。
村田さん:
チャールズ先生としては、学校とこのような形で関わるのは初めてのことなのでしょうか。
チャールズ・カヌーセン:
学校向けに、実際の授業を提供するという形で関わるのは、今回が初めての試みです。これまでは、特に帰国生教育にまだ慣れていない学校を中心に、新しいプログラムを立ち上げようとする際の助言やサポートを行ってきました。そうした学校では、最初の数年間に多くのガイダンスが必要になることが少なくありません。
しかし、授業そのものを担う形で関わるのは今回が初めてであり、その点において私たちは大きな期待とワクワク感を抱いています。放課後プログラムで私たちが行ってきた取り組みを、学校の教育テーマやコンセプトと連動させていけることは、これまでにない新しい形のパートナーシップだと感じています。
村田さん:
SNS などを拝見していると、KA の保護者の方々はKAへの愛情が深い印象があります。チャールズ先生の発信も、あっという間に広がりますよね。今回の取り組みも、きっと保護者の方々に広がっていくのではないでしょうか。
鎌倉先生:
私も同じことを感じています。実は、チャールズ代表と初めてお会いしたのは 2025年8月で、それほど長いお付き合いではありません。しかし、代表が本校を紹介してくださったこともあり、2025年12月の帰国枠入試では、中学・高校ともに多くのKA生が受験してくださいました。
中学では受験者 18名のうち、複数名が KA生で、バックグラウンドを合計すると 17の国・地域。高校でも帰国枠入試の受験者は 22名(KA生を含む)にのぼり、バックグラウンドは 20の国・地域に及びました。
本校では「貢献(contribution)」を大切にしています。さまざまな背景を持つ生徒たちが集まり、交わることで化学反応が生まれる。そのダイナミズムは、教育者の観点から見ても計り知れないものがあると感じています。
質の高い英語教育を日本全国に届けるための第一歩(34:21 - 36:20)
チャールズ・カヌーセン:
私は、英語が今後も日本の将来において重要な役割を果たし続けると強く感じています。日本全体で、英語教育を改善していく必要性は、これまで以上に高まっています。
日本の英語力に関する国際ランキングは年々下がっていますが、一方で、英語の必要性そのものは確実に高まっています。こうした現状を踏まえ、日本全体の英語教育を底上げするための新しいモデルをつくりたい――それが、今回この形で関わりたいと考えた理由の一つです。
帰国子女アカデミー(KA)創立者の立場から、私は帰国生教育に強い思い入れを持っていますが、それだけではありません。本来は、日本にいるすべての子どもたちが、バイリンガルであることの利点を享受できる社会であってほしいと考えています。英語が使えるかどうかによって、将来選べるキャリアの幅は大きく変わります。バイリンガルであれば、活躍の舞台は自然と世界へと広がります。
今回の取り組みは、質の高い英語教育を日本全国に広げていくための、長い旅路の中の一歩に過ぎません。しかし、その一歩には大きな意味があると感じています。
郁文館グローバル高校が誇る「海外大学現役合格率全国第1位」
大学進学先例の紹介(36:21 - 37:25)
村田さん:
ここまでお話を伺っていると、国内外を含めて、生徒の進路の選択肢が大きく広がっていくイメージが湧いてきます。実際の進路実績としては、どのような傾向があるのでしょうか。
鎌倉先生:
25年春の卒業生の実績をもとにお話しすると、国内では国際系学部への進学が多いですね。早稲田大学の国際教養学部、上智大学の国際教養学部(FLA)、慶應義塾大学 SFC、立教大学 GLAP、法政大学 GIS などが代表的です。
一方で理系志向の生徒も多く、カルフォルニアのサン・ディエゴ・ステートに進学したり、シドニーの大学でコンピューターサイエンスを学んだりと、進路は本当に多様です。
私たちは「世界地図から進路を選ぶ」という言葉を大切にしています。その象徴的な例として、ぜひご紹介したい生徒がいます。
「好き」を突き詰めた卒業生の進路選択—実例(37:26 - 39:18)
鎌倉先生:
IKEA のインテリアが大好きな女子生徒がいました。彼女は、「仕事で疲れて帰宅する両親を、自分の好きなこと(インテリア)の力で笑顔にしたい」と考えたのです。
その想いから、彼女はスウェーデンの大学だけを志望しました。IKEAが生まれた国で、本場の北欧インテリアデザインを学ぶことこそが、自分の夢(家族を笑顔にすること)に直結していると考えたからです。
その後、その夢はさらに発展し、「日本のオフィス環境をデザインによって変え、生産性を高めたい」というビジョンへと広がっていきました。
これはあくまで一例ですが、中等教育を通じて、すべての生徒が自分自身の強みや情熱を軸に、それぞれの人生の道(Pathway)を選べるようになることを、私たちは目指しています。
中等教育が子どもに世界を開く(39:19 - 41:43)
チャールズ・カヌーセン:
中等教育の本質的な目的は、生徒が「自分は何をしたいのか」を見つける手助けをすること、そして卒業時に、できるだけ多くの選択肢を持てる状態にしてあげることだと思います。
日本の大学に進みたいのであれば、その道を選べる。海外の大学に進みたいのであれば、それも選べる。日本国内の英語プログラムに進みたい場合でも、同じように選択できる。重要なのは、「選択肢がある」という状態そのものです。
少し余談になりますが、先日KAの20周年記念同窓会が開催されました。20年以上前の卒業生も集まり、コンサルティング会社で働く人、日本政府や外務省関連で働く人、F1に関わる人など、進路は本当にさまざまでした。
彼らは日本国内だけでなく、世界中で活躍しています。
その姿を見て改めて感じたのは、教育を通して得た「選択肢」が、文字通り彼らに世界を開いたということでした。
それは、親が子どもに贈ることのできる、非常に大きなギフトだと思います。国際的でバイリンガルな教育体験は、人生そのものを変え、より多くの可能性と機会をもたらしてくれるのです。
"Who are you?" を問う郁文館の入試とは
郁文館の入試形態(41:44 - 44:22)
村田さん:
小学5〜6年生の保護者の方の中には、説明会などに参加される中で、「入試はどのような形になるのか」を気にされる方も多いのではないでしょうか。今後の入試の在り方について、教えていただけますか。
鎌倉先生:
本校では、いわゆる学力偏重の入試ではなく、ホリスティックな視点での選考を行っています。
具体的には、帰国枠入試とは別に、「英語1教科型」の入試を複数回、2月1日以降に実施し、SDGs などの国際的なテーマに対して、どのような関心を持ち、どう考えるかを問います。その後、ネイティブ教員・日本人教員による面接や、学校成績などのアプリケーションを含めて総合的に判断します。
英語力をベースとしながら、私たちが大切にしているのは、「あなたは何者か」、そして「どんなポテンシャルを持っているのか」という点です。
入試は(ゴールではなく)あくまで教育の流れ、パスウェイの一部に過ぎません。そうした考え方や学びの方向性に共感していただけるご家庭と、ぜひ一緒に歩んでいきたいと考えています。
面接試験のアドバイス(44:23 - 45:30)
チャールズ・カヌーセン:
受験を考えている KA の生徒や保護者の方に向けて、面接のアドバイスをいただけますか。
鎌倉先生:
私たちが最も大切にしているのは、「あなたは何者か」、そして「将来、どのような存在でありたいのか」という点です。言い換えれば、“Who are you?” という問いに、どれだけ真摯に向き合っているかを見ています。
もう一つ重視しているのが、25歳になったときに、自分の人生の主人公として生き、周囲から多くの「ありがとう」を集めたいと考えているかどうかです。その舞台が日本であろうと海外であろうと、私たちは問いません。世界地図の中から進路を選び、社会にどのように貢献していきたいのか——その姿勢を大切にしています。
英語力はもちろん重要な要素ですが、それ以上に、自分の好きなことや得意なことを軸にしながら、「自分は何者なのか」を探求し続けようとする姿勢があるかどうかを見ています。そうした意識を持っている生徒であれば、私たちとしてもぜひお迎えしたいと考えています。
おわりに
チャールズ・カヌーセン:
貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。生徒たちも大変ありがたく受け止めると思います。
そして郁文館グローバル高等学校、中高一貫コースを真剣に検討されているすべての保護者の皆さまにお伝えしたいのは、KAの生徒たちに対して、広く門戸が開かれているということです。ぜひ前向きにご検討ください。
中学生向けプログラムは初年度ではありますが、確かなスタートを切り、多くの生徒にとって理想的な学びの場になると、私は心から信じています。