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KA大学進学ガイダンス2025:保護者の皆さまへのガイド

KA大学進学ガイダンス2025:保護者の皆さまへのガイド
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はじめに

11月23日(日)〜24日(月)の2日間にわたり、三田校とオンラインにて、KA中高生とその保護者様を対象に、大学進学ガイダンス「KA College Information Night 2025」を開催いたしました。ご関心をお寄せいただいた皆さま、ならびに実際にご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

今後も、学校選びや出願方法の違いについて理解を深めていただける機会をはじめ、KA のコアクラスや KA Plus!、季節講習が、日本国内および海外での将来に向けてどのように役立つのかを知っていただける機会を、引き続きご提供していく予定です。

進学を考えるうえで、意識しておきたいこと

大学進学までの道のりは、多くのご家庭にとって不安や戸惑いを感じやすいものです。
特に、日本の一般的な入試制度に加え、総合型選抜(AO入試)、日本国内の英語学位プログラム(英語で学べる学部)、さらには海外の質の高く、比較的学費を抑えた大学など、選択肢が年々広がる中で、判断の難しさを感じる方も少なくありません。

KA では、生徒が早い段階から情報収集を始め、自分に合った進路の可能性を理解し、そして保護者の皆さまにも常に安心して関わっていただけるよう、丁寧なサポートを行うことを大切にしています。

ここでは、今回のイベントでお伝えした主なポイントをまとめ、ご家庭での進路についての話し合いを始めるきっかけとしてお役立ていただける内容をご紹介します。

1. まず最初に:英語試験(TOEFL、IELTS、SAT/ACT)の重要性

今回のイベントでお伝えした重要なポイントのひとつが、英語試験のスコアは、日本国内・海外を問わず、大学出願において非常に大きな役割を果たすという点です。この点は、実は多くの保護者の方が意外に感じられるポイントでもあります。

英語試験のスコアは「海外大学を目指す場合だけ必要」と思われがちですが、日本国内の大学進学を考えている場合であっても、KA の生徒が目指すことの多い総合型選抜(AO入試) や英語学位プログラムでは、TOEFL や IELTS などの標準化された英語試験での高いスコアが求められるのが一般的です。

主に使用される試験

  • TOEFL iBT
  • IELTS Academic
  • SAT / ACT
  • IB 試験、AP 試験(プログラムによって異なります)

今回のイベントでご紹介した多くの学校において、これらの試験は出願条件となっているか、強く推奨されています。

なぜ日本の大学でも英語試験スコアが重要なのか

イベントでも触れたとおり、早稲田・上智・ICU・慶應などの大学では、標準化試験のスコアが出願や選考において重要な役割を果たしています。

以下は一例です:

早稲田大学(SILS / SPSE / TAISI / JCulP)
TOEFL(100点以上)、SAT / ACT が選考プロセスにおける重要な評価要素のひとつとされています。

上智大学(FLA)
SAT 1350点以上、ACT 26〜27点以上が目安とされています(または自己推薦+学科試験・面接)。

国際基督教大学(ICU)
English Language Based Admissions では、SAT 1350〜1400点、ACT 27点以上が合格者の目安とされています。また、平均 TOEFL スコアは 約102点です。

慶應義塾大学(PEARL / GIGA)
SAT / ACT に加え、TOEFL または IELTS の提出が必須となっています。

このように、日本国内の英語学位プログラムにおいても、海外大学と同様に、英語力や学力を客観的に示す指標が重視されていることがわかります。
たとえ試験スコアが「必須ではない」とされている場合でも、高いスコアを持っていることは出願を大きく後押しします。
総合型選抜(AO入試)では、エッセイや課外活動、面接が重視される一方で、学力面の準備が整っていることを示す材料として、標準化試験のスコアは依然として重要な役割を担っています。

海外大学でもスコアは必須

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、そして近年ではアジアやヨーロッパの大学でも、標準化された英語試験のスコアは出願において重要な判断材料となっており、大学側にとって次のような役割を果たします:

  • 異なる教育制度で学んできた学生同士を公平に比較する
  • 英語による授業についていける準備ができているかを確認する(TOEFL、IELTS)
  • 数学・読解・ライティングなどの基礎的な学力を客観的に測る(SAT / ACT)

いつから準備を始めるべきか

KAでは、遅くとも高校1年生までに準備を始め、テストスキルを身につけることをおすすめしています。
多くの生徒は、高校2年生で最初の試験を受験し、出願に向けた準備を本格化させていきます。
高校3年生では、スコアの安定・向上を目指す段階に入ります。TOEFL や IELTS は、2回以上受験することがひとつの目安となります。

特に総合型選抜(AO入試)を考えている場合、SAT / ACT のスコアは高校3年生の5月頃までに提出が必要となるケースが多いため、早めに準備を進めることが重要です。

保護者の皆さまには、次のような点でのサポートをお願いしています:

  • 英語での読書を日常的に続けるよう促す
  • 学習習慣づくりをサポートをする
  • 受験までの現実的なスケジュールについて話し合う
  • 試験日や締切を共有する

英語試験を早い段階で終えておくことで、高校生活の後半ではエッセイ、面接、課外活動など、より「その人らしさ」が問われる部分に集中することができます。特に総合型選抜(AO入試)を目指す場合、この余裕は大きな強みとなります。

2. 日本国内の英語学位プログラムと総合型選抜:広がり続ける選択肢

近年、日本の大学では、英語学位プログラムや総合型選抜(AO入試)の選択肢が大きく広がっています。こうした動きは、バイリンガル環境で学んできた生徒や、国際的な視野をもつ帰国生にとって特に親和性が高く、実際に多くの KA 生がこれらの進路で成果を上げています。

以下は、今回のイベントでご紹介した主なプログラムの概要です:

早稲田大学(SILS / SPSE / TAISI / JCulP)

早稲田大学は、日本国内でも特に充実した英語学位プログラムを提供しており、それぞれ異なる学習スタイルや志向をもつ学生に対応しています。

SILS(国際教養学部|School of International Liberal Studies)
幅広い分野を学ぶリベラルアーツ型の教育。日本語力に応じて SP1 / SP2 に分かれます。
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SPSE(政治経済学部|School of Political Science and Economics)
経済学・政治学を中心とした、より専門性が高いカリキュラム。
▶︎ 関連リンク

TAISI(社会科学部|School of Social Sciences)
学際的な内容と手厚い指導が特徴。学習の枠組みが明確な環境を好む生徒に向いています。
▶︎ 関連リンク

JCulP(文化構想学部|Global Studies in Japanese Cultures Program)
日本文化に焦点を当てたリベラルアーツ型プログラム。インターンシップや課外活動が、その後の進路やキャリアに大きく影響します。
▶︎ 関連リンク

上智大学(FLA / SPSF / グリーンサイエンス・エンジニアリング)

FLA(国際教養学部|Faculty of Liberal Arts)
日本で最も歴史のある英語学位プログラムのひとつで、国内外から多様な学生が集まります。
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そのほかにも、以下の英語学位プログラムが提供されています:

SPSF(Sophia Program for Sustainable Futures)
複数の分野を横断しながら、社会課題の解決を目指すプログラムです。
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理工学専攻グリーンサイエンス・エンジニアリング(Green Science / Green Engineering)
2026年度(秋入学)をもって募集終了
▶︎ 関連リンク

上智大学では 2027年4月に新たな英語学位プログラム「理工学部デジタルグリーンテクノロジー学科(DGTech)」 の開設が予定されています。環境・持続可能性とデジタル技術を融合した新しい学びが提供されます。これに伴い、グリーンサイエンスおよびグリーンエンジニアリングプログラムの募集は、2026年度(秋入学)をもって終了となる予定です。

国際基督教大学(ICU)

ICU は、日本でも数少ない本格的なリベラルアーツ大学で、人文科学・自然科学・社会科学を英語と日本語の両方で学びます。専攻の決定を2年次終了時まで延期できる点は、日本では非常に珍しく、高い学問的自由度を提供しています。

慶應義塾大学(PEARL / GIGA)

英語で学ぶ複数のプログラムが用意されています。

PEARL(経済学部|Program in Economics for Alliances, Research, and Leadership)
評価の高い9月入学の英語学位プログラムです。
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GIGA(総合政策学部・環境情報学部|Global Information and Governance Academic)
テクノロジー、デザイン、イノベーションを中心に学ぶ先進的なプログラムです。
▶︎ 関連リンク

また、慶應義塾大学では、フランスやイタリアの大学と連携したダブルディグリー・プログラムも提供しており、授業は一部または全て英語で行われます。英語または現地語での学習を組み合わせながら、2つの学位を取得することが可能です。

3. なぜリベラルアーツ教育が重要なのか:ジョン・モンゴメリー氏からのアドバイス

今回のイベントでは、IECA(Independent Educational Consultants Association)に所属する日本唯一のメンバーであり、約40年にわたる入試指導経験をもつジョン・モンゴメリー氏から、貴重なアドバイスを共有いただきました。

ジョン氏が強調したのは、リベラルアーツ教育は「専攻を決めない教育」ではなく、ひとつの教育哲学であるという点です。リベラルアーツ教育は、学生に次のような力を育てることを目的としています。

  • 専攻を決める前に、幅広い分野を探究し、視野を広げる力
  • 批判的思考力やコミュニケーション力
  • 変化に対応できる柔軟性と、生涯にわたって学び続ける姿勢
  • 学問分野を越えて考え、物事を結びつける力

言い換えれば、リベラルアーツ教育は、まだ自分の興味や適性を探している段階の学生にとって非常に適した学びの形だと言えます。

またジョン氏は、次のようにも述べています。

アメリカの大学が世界的に高く評価されているのには理由があります。優れた専門教育や研究プログラムに加え、リベラルアーツという考え方が、その大きな要素となっているのです。

大切なのは知名度ではなく、「自分に合った」大学を見つけることです。

4. 海外大学という選択肢:コスト・教育の質・学びの自由度

海外進学というと、「アメリカ並みの高額な学費」をイメージされる方も多いかもしれません。しかし実際には、英語で学べて、教育の質が高く、費用を比較的抑えられる国が数多く存在します。今回のイベントでも、多くのご家庭が驚かれていました。

こうした国々では次のような特徴が見られます:

  • 英語による授業(英語学位プログラム)が充実している
  • 教育水準が高い
  • 学費がアメリカや日本の私立大学よりも大幅に抑えられる
  • 生活費が比較的低い
  • 卒業後の就労ビザや滞在資格への道筋が明確

以下は、イベント内で紹介した国々の一例です:

マレーシア(Malaysia)

  • 学費:年間 約60万〜150万円
  • 生活費が比較的抑えられ、モナシュ大学マレーシア校やノッティンガム大学マレーシア校などで英語による学位取得が可能です。

ドイツ(Germany)

  • 学費:公立大学は授業料が無料、またはごく少額
  • 生活費:年間 約130万〜200万円
  • 工学・理系分野に強く、教育水準が高いことで知られています。また、ベルリン自由大学(Freie Universität Berlin)やルートヴィヒ・マクシミリアン大学(LMU: Ludwig Maximilian University of Munich)などでは、学生の20%以上が留学生という国際的な環境です。

オランダ(The Netherlands)

  • 学費:年間 約100万〜240万
  • 英語で学べるプログラムが2,000以上あり、卒業後には 1年間の就職活動ビザ(Orientation Year) を取得することができます。
  • 一方で、アムステルダム大学など一部の大学では、学生寮の抽選に参加するために事前の現地滞在が必要となるケースがあり、住居に関する準備費用や時間的な余裕を考慮する必要があることも、ジョン氏から共有されました。

台湾(Taiwan)

  • 学費:年間 約40万〜70万円
  • 生活費が比較的抑えられることに加え、英語学位プログラムが年々拡大しています。国立台湾大学(National Taiwan University)や国立清華大学(National Tsing Hua University)は国内トップレベルの大学の一例です。

韓国(South Korea)

  • 学費:年間 約40万〜100万円
  • 英語で学べる STEM・ビジネス分野のプログラムが増えており、キャリア支援体制も整っています。成均館大学(Sungkyunkwan University)や高麗大学(Korea University)は、英語学位プログラムの拡充において先導的な役割を担っています。

これらの国々は、英語で学びたい一方で、学費や生活費は現実的に抑えたいと考える生徒にとって、アメリカやイギリスに代わる非常に魅力的な選択肢となります。

5. 奨学金・経済的サポート:さまざまな支援制度

大学進学を考えるうえで、学費や経済的な負担は、多くのご家庭にとって大きな懸念事項のひとつです。 しかし近年、国内外どちらの進学にも利用できる奨学金制度が年々充実してきています。

KA のご家庭にとって特に関連性の高いものとして、以下のような奨学金・支援制度があります:

このほかにも、JASSO(日本学生支援機構)では、日本国内の大学進学や海外留学を対象とした 貸与型・給付型の奨学金支援制度が用意されています。

最後に:早めに始め、視野を広げ、共に考える

今回のイベントを通して、特に強くお伝えしたかったのは、「早めに準備を始めること」そして 「コミュニケーションを絶やさないこと」の重要性です。

保護者の皆さまが、すべての答えを持っている必要はありません。ただ、進路選択のプロセスに関わることで、お子さまは自分の目標を整理し、先を見通した計画を立てやすくなり、不安の多い時期にも「支えられている」と感じることができます。

ぜひ、ご家庭でも次のようなことを意識してみてください:

  • 毎日少しずつ、進路の選択肢について調べてみる
  • 疑問に思ったことを積極的に質問・相談する
  • 日本と海外のプログラムを比較してみる
  • 知名度だけでなく「自分が成長できる環境」を大切にする
  • 興味や関心の変化に合わせて、柔軟に考え続ける
  • ご家庭で話し合い、お子さまの意見を尊重する

比較的経済的負担を抑えられる海外大学や、日本国内で広がる英語学位プログラム、そしてさまざまな支援制度。これらを組み合わせることで、今の高校生には、これまで以上に現実的で多様な進学の選択肢が広がっています。

そして何よりも大切なのは、大学進学に「唯一の正解」はないということです。

日本の大学を選ぶ場合でも、海外に進学する場合でも、自身が成長できる道こそが、その人にとっての最良の進路だと私たちは考えています。

KA では、皆さまの大切な進路選択を、これからも全力でサポートしてまいります。
ご不明な点やご相談がありましたら、どうぞお気軽にオフィスまでお問い合わせください。